雛とべに花の里で酒造りをはじめて200年以上になります。
土地柄・創業
河北町は山形県のほぼ中央に位置しており、東に母なる川最上川、南に清涼な水源である寒河江川、西に万年雪を抱く霊峰月山を有し、さらには南の彼方には有名な蔵王を望む、自然豊かな土地です。
江戸時代には、最上川の水運により京都の文化がこの地域に伝えられました。河北町は米と紅花の生産が盛んであり、収穫された紅花は北前船によって京都に運ばれ、女性の口紅や京文化の彩りに用いられました。当時、紅花と引き替えに河北町にもたらされた京雛が数多く残されており、毎年4月2,3日にひな市がたち月遅れの雛祭りが開催されます。
また約400年の歴史をもつ谷地八幡宮の例祭である谷地どんが祭りは、9月の敬老の日を含む連休に開催され、勇壮な谷地奴、1100年以上一子相伝で続く谷地舞楽、祇園祭の流れを汲む囃子屋台など町全体が鮮やかに彩られます。
当蔵は、江戸中期である寛政9年(1797年)に、山形県河北町谷地にて創業しました。江戸時代の書物である東講商人鑑にも記載されております。登録商標である『あら玉』はおめでたいことから名付けられたと伝えられており、『あら玉』は日本の和歌では新年を意味する枕詞となっています。
すべて地元の蔵人で、地元に愛される酒造りを心がけております。
肥沃な土地で栽培される『改良信交』丈が高く栽培は困難ですが、酒質は最高です。
地元にこだわった酒造り
当地は古来より米作りに極めて熱心な土地柄であり、反収日本一を何度となく記録しました。近年まで山形県で唯一の酒造好適米であった「改良信交」の栽培地としても知られております。
酒造用水は万年雪を頂く月山の伏流水であり、軟水の成分はきめ細かく、やわらかい酒に仕上げております。酒造期に入ってしばらくした12月頃より雪が静かに降り積もり、空気を浄化し、冷気は蔵内を清潔にし、酒造りに好条件が整い、まさに米、水、空気の三拍子揃った酒造適地であります。また、昔より蔵人は皆地元の人々であり、すべて地元づくしの酒蔵で、地元に愛される地酒屋を目指しております。
少量高品質、心の伝わる酒造りを目指して
年間の製造石数は約600石とごく僅かであり、出荷の約8割が山形県内という、まさに地元に皆様に支えられた「地産地消」の酒蔵です。蔵人の技術向上のために出品しております『全国新酒鑑評会』においては、平成年間で16回(平成2、3、4、8、9、13、14、15、16、18、20、21、24、25、26、29年度開催)、令和に入ってから2回(令和1、3年、5年)、計19回の金賞を受賞しております。また、東北6県の酒造場から出品される『東北清酒鑑評会 』では、吟醸の部において令和元年は『最優秀賞』を、令和3年は『審査員特別賞』を受賞しております。飲んでいただいた方が蔵の風景を思い描けるような、心の伝わる酒造りを目指してまいります。皆様の変わらぬご愛顧・ご愛飲をお願いいたします。